絹先人考

絹先人考

■16・茂木惣兵衛

茂木惣兵衛
茂木惣兵衛

三月下旬、JR湘南新宿ラインが熱海まで延長されるのを記念して「ミス熱海梅の女王」と「ミス熱海梅娘」の観光キャラバンが高崎駅で熱海梅園などをPRした。本県での宣伝活動は初めてという。梅の観光グッズが人気を呼ぶ中、名園として知られる梅園の開設者のことが話題に上ることはない。

熱海梅園は高崎出身の横浜生糸商、茂木惣兵衛の出資により一八八六(明治十九)年に造成された。病気療養者の保養のためで、後に皇室へ献上後、熱海市に無償譲渡される。惣兵衛は生糸を集荷して外国人貿易商に売り、手数料などで富を築いた。人知れず“里帰り”した梅の花に、蓄財を市井の人に生かそうとした篤実な人柄がのぞく。