■15・中居屋重兵衛
中居屋重兵衛肖像画(奥村崇画、黒岩幸一氏蔵)
一八五九(安政六)年、横浜が開港した。その当時の街並みの様子が、二代広重の錦絵「横浜風景一覧」に描かれている。中央部の目抜き通りに面した二階建て建物は「中井」と記され、平屋に囲まれた家々の中でひときわ目を引く。この商館の持ち主が、中居村(現嬬恋村三原)出身で幕末に活躍した貿易商人、中居屋重兵衛だ。
重兵衛の店は間口が三十間(五十四㍍)あり、同様に出店した幕府の御用商人、三井の越後屋をしのぐ。屋根が銅瓦でふかれていたこともあり、「銅(あかがね)御殿」と呼ばれた。