■41・佐藤 量平
1921年当時の南三社幹部。前列左端が佐藤量平(佐藤準治さん所蔵)
「不踰矩」
組合製糸「下仁田社」(下仁田)の社長室に、こう書かれた額が掲げられていた。仏教哲学者で教育家、井上円了の揮毫(きごう)だ。
「論語」の「七十而従心所欲 不踰矩」(七十にして心の欲するところに従いて矩(のり)を踰(こ)えず)の一節で、心のままにふるまっても、道を踏み外さない理想の状態を指している。
同社創立の一八九三(明治二十六)年から四十年にわたって社長を務めた佐藤量平が大切にしたこの額は、分家筋で量平の自宅跡の隣に住む佐藤準治さん(67)=南牧村磐戸=方に残る。