■7・繭ぱふ
「繭家」社長小島 篤さん(52
直径六センチほどの円形に加工された「繭ぱふ」。繭は本来の白い光沢を残しながら、全く違う物に姿を変えている。かつて栄えた蚕糸業の“灯”を消すまいという思いが、誰も考えつかなかった発想を生み出した。
フェースパフというスキンケア商品を考案したのは富岡市宇田で繭糸業を営む「繭家」社長の小島篤さん(52)。七十年近く続く繭問屋の三代目である。
甲府市出身の祖父・義定さんが富岡市で繭糸業を始めた当時、市内は同業者であふれていた。父・勝吉さんに受け継がれた時も年間一億粒を取り扱うほど。しかし、安価な外国産の流通が次第に国内養蚕農家の経営を圧迫した。
(2005年7月17日掲載)