絹人往来

絹人往来

■11・機械化

大規模養蚕農家 吉田俊雄さん(62)
大規模養蚕農家 吉田俊雄さん(62

富岡市の丹生地区を眺望できる小高い丘。県内で指折りの大規模養蚕農家である吉田俊雄さん(62)=同市下丹生=が一帯を所有している。自宅から作業場へと続く私道を歩いて上ると、数棟の飼育蚕室が目に入る。そこに機械化した施設が整う。

「シルクロード」。白いコンクリート舗装された私道をさして、吉田さんは冗談ぽく言う。蚕が繭となり、取引先へと運ばれていく。かつて中国から欧州などに絹が運ばれた“あの”道になぞらえているのだ。

桑の収穫から上蔟(じょうぞく)までの間に取り入れた機械。吉田さんは一九九三年から「先進国型養蚕経営確立推進事業」に取り組み、収繭量は年間二トンから四トン。同業者が激減していく中、機械化による大規模経営を軌道に乗せ、養蚕を中心に展開している。

(2005年8月21日掲載)