■23・カラー繭
ミラノリブ勤務 千明 敏彦さん(47)
「繭のまま染色したのでは、中まで染料が届かない」。そんな生糸染色の常識を覆す新しい技法が、大間々町のニット工場で生まれた。開発担当者の千明敏彦さん(47)=子持村中郷=が上州座繰り器を回すと、赤と青二色のカラー繭から引き上げられた生糸は、深みのある紫に色を変える。どんなに座繰り器を回しても、糸の色は薄れない。新技法で繭の奥までしっかりと染め上げているからだ。
巧みな手さばきで座繰り器を扱いながら、千明さんは穏やかに語る。「養蚕農家のおばあちゃんたちに随分とお世話になった。何か恩返しがしたくてね」。その一心で打ち込んできた研究が、ようやく実を結ぼうとしている。
(2005年11月27日掲載)