■65・近代化
養蚕農家 糸井文雄さん
前橋市小坂子町の県道沿いに「養蚕近代化組合壮蚕飼育共同施設一号棟」と命名された糸井文雄さん(66)の養蚕施設がある。外見は町工場の趣で、一見しただけではそこで養蚕が行われているとはとても思えない建物だ。
十月十七日のこと。文雄さんは“工場”二階で、回転蔟(まぶし)から繭を取り外す繭掻(か)き作業に取り組んでいた。碓氷製糸への出荷は三日後。初冬蚕の繭を出荷すると、今年の養蚕は一段落する。
初冬蚕には県オリジナル蚕品種「ぐんま200」を採用した。この蚕品種は夏蚕に続きまだ二度目だが、飼育はとても順調だった。「いつもの蚕よりも少し大きめのいい繭が取れた」。文雄さんは輝く繭を見つめ、目を細めた。
(2006年11月5日掲載)