絹人往来

絹人往来

■38・修業

江戸小紋染め職人 菊池宏美さん
江戸小紋染め職人  菊池宏美さん

真っ白い絹の生地に型紙を載せ、上から紺色ののりを塗る。型紙をめくると、生地に驚くほど細かい模様が現れる。「江戸小紋」。江戸時代に人気を呼んだ“粋”な着物の柄だ。

「奥深い美しさ。色あせない技術。私が求めていた仕事に巡り合えた」と、菊池宏美さん(39)=伊勢崎市連取町=はにこやかに話す。東京の生活、一流企業の職を捨て、県指定重要無形文化財保持者の藍田正雄さん(66)=高崎市足門町=に弟子入りした。決して楽ではない修業の日々。それでも優しい目、朗らかな表情が絶えないのは、「仕事が充実している」からだ。

(2006年4月9日掲載)