絹人往来

絹人往来

■17・真綿

養蚕農家 斉藤とく子さん(71)
養蚕農家 斉藤とく子さん(71)

熱湯で煮た繭に穴を開け、ほどくように広げながら木枠の四隅の出っ張りに引っ掛けて薄く引き伸ばす。養蚕を始めて五十年になる斉藤とく子さん(71)=沼田市上発知町=は「真綿かけ」と呼ばれる一連の作業をてきぱきと進める。十―十二個の繭を同様に処理して重ね合わせた後、一晩水につけ、よく水を切ってから乾燥させると、ふかふかの真綿が出来上がる。

かつて、県内各地の養蚕農家で作られていた真綿が再び脚光を浴びている。従来は布団やはんてんなどに使われてきたが、前橋市内の化粧品製造販売会社が真綿からシルク抽出液を取り出して化粧品の原料にする技術を開発、新しい用途が見つかった。同社と契約し真綿を提供しているのが、斉藤さんだ。

(2005年10月16日掲載)