■10・修復
重文の富沢家住宅を復元 町田茂さん(61
重厚なかやぶき屋根、それを支える太い梁―。国指定重要文化財、富沢家住宅は中之条町大道の小さな集落に建っている。築後二百年余り。この地が養蚕で繁栄した歴史を伝えている。
二十九年前、この大きな養蚕農家は、老朽化で崩壊の危機を迎えていた。「富沢家住宅は地元の誇り。何としても守りたい」。同町五反田の町田茂さん(61)が、修復工事に名乗りを上げた。当時三十二歳。使命感に燃えていた。
実家は同町岩本の農家。二男だった町田さんは、中学を卒業すると昼は大工の見習いとして働き、夜は前橋工業高校の建設科に通った。卒業後は前橋市内の工務店に勤め、たたかれながら必死に職人の技を盗んだ。二十四歳で故郷に帰り、建設会社を立ち上げた。
(2005年8月14日掲載)