絹人往来

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■32・桑苗

栽桑園経営 大竹 文明さん
栽桑園経営 大竹 文明さん

三月七日、二年近くかけて育てた桑の苗木二百本を宮内庁に納める。皇后さまが行うご養蚕に使われる桑として、皇居内の桑園に植えられる。「桑苗と蚕種がなければ養蚕は成り立たない。養蚕を守りたいという気持ちで桑苗の生産を続けてきた。(宮内庁への納入は)すごく励みになる」

大竹文明さん(56)∥富岡市田篠∥は四代にわたって桑苗の栽培に取り組んできた。養蚕の衰退とともに生産者は激減。県内だけでなく全国的にもほとんどいなくなり、三年前から宮内庁に納めている。納入本数は今年で一千本を超える。

桑苗は今の時期が出荷のピーク。大苗が二十五本を一束、中苗は五十本一束とし、宮内庁のほかにも、JAを通じて県内中の養蚕農家に供給される。全国各地からも引き合いがある。

生産量は約三万本で、このうち県内農家に五千本を出荷する。養蚕農家に最優先で提供し、今年は県蚕業試験場からも注文があった。残りを全国に配っているという。

(2006年2月26日掲載)