■52・道具
伊勢崎市郷土文化研究会連絡協議会長 桜井 玉寿さん
古い織物の道具が所狭しと並ぶ。壁には婉然(えんぜん)と笑みを浮かべる昭和初期の人気女優、水谷八重子(初代)のポスター。伊勢崎銘仙をPRするため、一九三四(昭和九)年に伊勢崎織物同業組合が作製した貴重な一枚だ。
郷土の歴史や文化を研究している桜井玉寿(たまじ)さん(79)=伊勢崎市馬見塚町=が自宅の敷地内に開設する私設資料館「玉寿(ぎょくじゅ)文庫」には、伊勢崎銘仙の製造工程で使われる機械や道具、関連の品々がたくさん収蔵されている。
「豊受地区は大絣(かすり)の発祥の地とも言われており、伊勢崎銘仙の生産の中心だった。しかし、織物に携わる人はどんどん少なくなっている。今、そろえておかないと、地域を支えた産業を物語る貴重な資料がみんな散逸してしまう」。桜井さんの言葉に力がこもる。
(2006年8月6日掲載)