■55・意義
日本絹の里館長 村上 毅さん
日本絹の里(高崎市金古町)で十九日、来館者二十五万人達成を祝うセレモニーが行われた。村上毅館長(69)=茨城県つくば市=は、神奈川県から訪れた親子に記念品を渡しながら、養蚕、製糸に特別な愛情を抱く人々が全国にまだたくさんいることを喜んだ。「養蚕・製糸の仕事をしている人はほとんどいなくなっているのに、来館するみなさんは熱い思いをもっている。蚕糸業が果たした役割をもう一度見直し、養蚕の可能性を知ってほしい」。そんな思いをますます強めた。
一九三七年、兵庫県加西市の農家に生まれた。実家は米作が中心で、副業的に養蚕と野菜づくりをしていた。進学した東京農工大繊維学部では、桑の研究に打ち込んだ。卒業後は農林省(当時)蚕糸試験場に勤務。九七年、蚕糸・昆虫農業技術研究所(茨城県つくば市)の所長を務めて退官した。九四年には本県の蚕糸業振興緊急対策委員会のメンバーとして提言をまとめるなど、本県との結び付きも強い。
学生時代から研究してきたのが、挿し木による桑苗づくり。桑は挿し木では発根しづらく、接ぎ木による苗づくりが一般的。だが、挿し木による苗づくりが容易になれば、手間と時間をかけずに大量の苗づくりが可能だった。
(2006年8月27日掲載)