■２５・紅葉山

御養蚕所主任　　佐藤　好祐さん（77）

皇居にある紅葉山御養蚕所で七月六日、今年のご養蚕を締めくくる「御養蚕納の儀」が厳かに執り行われた。神前には繭飾りのほか、とれたての繭からひいた生糸が供えられ、御養蚕所の佐藤好よしすけ祐主任（77）∥前橋市元総社町∥が皇后さまに養蚕の経過や収繭量などを報告した。

「今年は雨が降って大変だったでしょう。その中でこれだけの繭がとれ、うれしく思います」。報告をお聞きになった皇后さまは帰り際、佐藤さんにねぎらいの言葉をお掛けになった。

富岡市の養蚕農家で生まれ育った佐藤さんは東京繊維専門学校（現在の東京農工大）に進み、卒業後は福島県蚕業試験場で十三年間、蚕の病理学を研究した。一九六三年、群馬県蚕業試験場に転入してからは、二㌶の桑そうえん園（そうえん）を活用し、養蚕農家さながらの養蚕に取り組み、大規模経営の効率化、省力化を研究した。

(2005年12月5日掲載）