■15・エリ蚕
蚕業試験場養蚕応用グループリーダー 清水治さん(59)
エリ蚕(さん)という外国産の蚕が県蚕業試験場(前橋市総社町)で飼育されている。体表には規則的に並んだ小さな斑点と多数の突起。紡錘形の繭は厚みに反して柔らかく、紡ぐと羊毛のカシミヤのような風合いになる。原産国はインドとみられ、東南アジアやアフリカで飼育されている。
試験場養蚕応用グループリーダーの清水治さん(59)は八月、休暇を利用してベトナムに飛んだ。訪問はこれで七回目。今回の目的は貧困に苦しむベトナム中部高原地帯の少数民族にエリ蚕飼育を普及させることだ。
かつて日本の近代化を蚕糸業が支えたように、養蚕はまだ発展途上国で大きな可能性を秘めている。その一つが貧困解消。清水さんはエリ蚕を普及させることで、貧しい人々にわずかだが現金収入の道を開こうと活動している。
(2005年10月2日掲載)