■62・恩返し
山口きもの学院長 山口 則子さん
「先祖から受け継いだ着物文化を語り継ぐだけでなく、生かす必要がある。私自身がシルクを身に着けることで、精神的にも肉体的にも癒やされてきた。その恩恵を一人でも多くの人に分けてあげたい」
着物の着付けに取り組み四十年になる山口則子さん(62)=高崎市金古町=は絹への強い思い入れがある。それだけに、現在のシルク産業の“苦境”に心を痛める。
「絹を一番使うのは着物。みんなが着物を着るようになれば、絹の需要を掘り起こし、養蚕農家も織る人も染める人も残っていける」。着物の普及が絹の再生につながると信じ、着付けを通してその魅力を訴える。
(2006年10月15日掲載)