絹人往来

絹人往来

■18・のこぎり屋根

世界都市無鄰館館長 北川紘一郎さん(65)
世界都市無鄰館館長 北川紘一郎さん(65)

素朴な思いから、織物のまちでも珍しい「男の着物講座」が月に一度、桐生市本町の無鄰館で続けられている。市内のきもの学院長が五十を過ぎた男たちを指導する。きょう二十三日は、受講生が市民文化会館で男性着物のファッションショーに挑む。

無鄰館は織物工場だった「のこぎり屋根」の工場を活用している。機音は戦争のころ途絶えた。この夏、国の登録有形文化財の指定を受けた。「織物のこと、機屋のことは何も分からない」。そう言ってはばからない北川紘一郎さん(65)は、絹にかかわる着物教室が二年以上も続いていることを、「DNAレベルの深い縁」と感じている。

一緒に着付けを学ぶのは、無鄰館を拠点に活動する作家や昔からの知り合い。「少しの会費をいただくことで、みんなが主体的にかかわってくれる」。参加者は心から桐生の生活を楽しむ。

(2005年10月23日掲載)