■49・十二支
平達織物社長 平田 達男さん
目を見開いたトラ、勇壮に宙を舞うタツ-。応接間に並ぶ掛け軸には、十二支の動物たちが勢ぞろいしている。どの絵も絹糸を先に染め、絵になるように織り上げた伊勢崎絣(かすり)の逸品だ。機屋「平達織物」を経営する平田達男さん(80)=伊勢崎市除ケ町=は、この掛け軸を作り続けて五十年近くになる。「着物が売れなくなってからは、掛け軸にずいぶんと助けられてね。親孝行もんさ」。目尻を下げ、絵の動物たちをわが子のように慈しむ。
除ケ町周辺は伊勢崎絣の名産地。平田さんが生まれた一九二五(大正十四)年ごろは、機屋や紺屋(こうや)などが立ち並び、着物が盛んに製造されていた。父の角太夫さんは市内有数の腕利き職人。戦前に独立し、機屋「平角織物」を創業した。四男の平田さんも父や兄から技術を学び、仕事を手伝った。
(2006年7月16日掲載)