絹人往来

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付加価値 繭のタオルに愛着 佐藤 和さん(76) 富岡市妙義町大牛 掲載日:2007/4/5


「道の駅みょうぎ」の物産センターで、売れ筋の「つるるんタオル」を手にする佐藤さん
「道の駅みょうぎ」の物産センターで、売れ筋の「つるるんタオル」を手にする佐藤さん

 妙義山のふもと、自宅に近い「道の駅みょうぎ」の物産センターに、養蚕農家らでつくる甘楽富岡蚕桑(さんそう)研究会の絹製品販売コーナーがある。
 同研究会が県産の蚕品種「ぐんま200」を素材に開発した「つるるんタオル」をはじめ、碓氷製糸農協(安中)から委託されているシルク成分配合のせっけん、ローションなどが並ぶ。売れ行きに合わせて商品を補充するなど管理を担当している。
 「客が多いのは、大型連休のほか、春のサクラや秋の紅葉(もみじ)の時期。週末前に品物の数を見て、大丈夫と思っていたら、週明けには足りず、慌てて補充したこともあった。売れていれば、会の活動費が出るので安心する」
 研究会のメンバーが育てた繭も織り込まれる、つるるんタオルには愛着がある。1本1000円で、お土産としてよく売れているという。
 繭、桑の活用やPRを図る研究会で、監事を務める。2000年に開業した物産センターで販売を始めた時は、町との調整に当たり、了解を取り付けた。
 「研究会に入ったのは、妙義の農協の指導員に勧められたのがきっかけ。当時は県内あちこちに研究会があった」
 祖父の代からの養蚕農家で、子供のころは蚕棚のすき間にふとんを敷いて寝た。安中市内に畑を持ち、独立して、妻、なか子さん(72)とともに、養蚕とコンニャク作りに励んできた。
 今は養蚕専業。収繭量はピーク時の半分余りだが、春、夏、晩秋の年3回、「ぐんま200」を蚕種一箱半(4万5千粒)ずつ飼育する。碓氷製糸に出荷する繭は、品質評価担当者にも評判がいいという。
 JAによると、甘楽富岡地区の養蚕農家は40戸ほど。高齢化で年々減り、新規就農はない。
 「男衆が桑取りに行っている間に女衆が蚕の面倒を見ていたが、片方欠けると続かなくなってしまう。旧妙義町のうち、妙義地区では一戸だけ。農家の苦労をくんで、製品の付加価値を高めていってほしい」

(富岡支局 西岡 修)