絹人往来

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愛着 着物を生活の一部に 品川 孝恵さん(48) 前橋市三河町 掲載日:2008/01/19


「着物の魅力を広める活動を行っていきたい」と語る品川さん
「着物の魅力を広める活動を行っていきたい」と語る品川さん

 「幼少のころ、着物好きの母が正月になると、必ず着物を着させてくれた。毎年大みそかに、髪を結い着物姿になり家族で集まることが楽しみでした」
 自分1人でも着物を着られるようになりたいと考え、20歳を過ぎたころから、着付け教室に通い始めた。
 「着物を着ると心が落ち着く。きっと、着付けを行う過程が、自分の気持ちに余裕を作り出してくれるのだと思う。嫌なことがあり、いらいらしている時でも、着物を着ると、妙に心が安らぐ」
 いつしか母のように子供たちの入学式や授業参観などに、必ず着物で行く自分の姿があった。自分1人で着付けができるようになってからは、近所への買い物や友人との食事にも着物姿で行くようになった。
 「着慣れると洋服よりも疲れない。普段着として着こなそうと思ってからは、常に30着以上そろえて、帯などの小物とのバランスを楽しむようになった」
 絹の記憶をたどって思い出すのは、沼田市にある父の実家が養蚕をしていたこと。学校が夏休みのときなどに遊びに行っては、蚕に桑をあげたりした。
 「夜になると家の2階で飼っていた蚕の桑の葉を食べる『ザワザワ』という音が鳴り響いていた。蚕から、きれいな絹が作られ、やがて着物になることが、そのときは信じられなかった」
 子育てが一段落したことから、最近再び市内で友人が開く着物教室に通い始めた。
 「普段着として着物を着る楽しさをもう1度、学びたいと思った。今度は自分なりの着こなしを楽しんで、着物を生活の1部にしたい」
 現在、お祭りのときなど友人と一緒に外国人にボランティアで着付けを行ったり、着物の魅力を広める活動にも積極的にかかわっている。
 「今後は、着物を着て楽しめる喫茶店などを始めてみたい」

(前橋支局 粕川悠介)