絹人往来

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ひな人形 発色違う県産生地 渡辺 泉二さん(61) 高崎市栄町 掲載日:2008/01/05


「正絹ぐんま黄金雛(ひな)」を手に、県産シルクの魅力を語る渡辺さん
「正絹ぐんま黄金雛(ひな)」
を手に、県産シルクの魅力を語る
渡辺さん

 県産シルクを使ったひな人形「正絹ぐんま黄金雛(ひな)」を創作した。人形などの製造、販売を手掛ける会社の専務。内裏びながまとう黄金色の衣装が、落ち着いた輝きを発する。
 「群馬のシルクの素晴らしさを人形に生かしたい。生地の種類や量が限られていて、すべての人形にはまだ利用できないが、『正絹ぐんま黄金雛』は素材の7割に県産シルクを使い、半年がかりで商品化した。生地本来の質がいいから、衣装の発色が違う」
 2年前から「群馬のシルクを使用したひな人形」のキャンペーンを展開している。素材そのもののブランド性や魅力を訴える、人形業界では新しい試みだ。
 「群馬産の生地は昔、ひな人形の裏地に使う程度で、宣伝するのも気恥ずかしい感じだった。だが、今は胸を張ってアピールできる。自分のところだけでなく全国の同業者に県産シルクを使ってもらえたらと、ホームページなどで積極的に情報提供している。県外で同調する動きも出てきたし、群馬で一生懸命やっていれば、起爆剤となって全国に広がるはずだ」
 高崎経済大在学中から家業の人形店を手伝い、この世界に飛び込んだ。桑畑の風景とともに育った上州人の1人として、絹の産業や文化に深い愛着がある。
 「人形作りで絹の需要が拡大すれば、生産者を後押しできる。生地の種類や量も充実していくのでは。県産シルクのひな人形はびょうぶ、ぼんぼりの装飾も高級なものを使っていて、多少割高になるが、もともと安く作ろうとは思っていない。群馬の絹ならではの高級感を大切にしたい」
 家庭にある古着の帯を使ったひな人形作りを始めたところ、反響を呼び、年間100件の注文が寄せられているという。人形作りにとって、絹は決して過去の遺産でなく、新しい可能性やビジネスチャンスの発信源だ。
 「おひなさまは顔がよくなくてはだめ。けれど人間と同じで、いい着物を着ればいい顔に見える。県産シルクを使って、源氏物語絵巻風のひな人形など、新しいものも作ってみたい。絹を通して群馬が再発見でき、その魅力を全国にアピールしていく」

(高崎支社 関口雅弘)