絹人往来

絹人往来

繭玉でエステ 「民」の発想で特産活用 渡部恵知子さん(56) 高崎市中居町 掲載日:2007/10/10


「グッドデザインぐんま」の認定証を手に、繭文化について語る渡部さん
「グッドデザインぐんま」の認定証を手に、繭文化について語る
渡部さん

 繭玉で顔や足をマッサージするエステ用のグッズ「繭の玉手箱」を考案し、県の「2003年度グッドデザインぐんま選定商品」に認定された。市販はしていないが、経営する健康サロンで繭玉を使った美容を1部取り入れている。
 「温泉による予防医学を研究しようと、03年に1カ月半ほどドイツに行ったのがきっかけだった。あらゆるエステを受けてみて、その土地のものを生かした美容はすごいと思った。繭が美容にいいのは知っていたし、帰国してあわてて県に申請した。血行をよくするファンゴという粘土のパックに、繭玉とバラ水を組み合わせたパッケージが評価された」
 地域づくりに情熱を注ぐ。県総合計画の21世紀プランぐんま夢工房委員をはじめ、食の安全や男女共同参画、女性の起業支援など各分野で、県、高崎市の各種審議会・懇談会委員を歴任。高崎女性経営者研究会会長も務めた。
 「本県の特産の繭をもっと活用できればと思っていた。繭の効能については、県の補助を受けた群馬大工学部の研究でセリシンという成分の美白効果が確認されている。繭玉をカットし、ファンゴとバラ水を合わせて使うと、繭の糸が肌に気持ちいいんですよ」
 武蔵野音大ピアノ科を卒業し、東京農大二高音楽講師、自宅でのピアノ教室開校、フラワーアレンジメント教室の運営―と職歴は幅広い。
 「ひらめいたこと、いいと思うことを、時に並行しながらやってきた。『官と民』の協働が必要と言われるが、私は『民と官』という言葉を使う。結局は『民』がやらないとだめ」
 民間で組織する高崎のまちづくりを考える会代表として、観音山の行楽客にシルクや農産物を売る「布らく楽市」を5年間にわたって運営した。NPO法人KFP友の会理事として、県立観音山ファミリーパークの民間管理にも取り組む。
 「繭の文化は女性の自立に重要な意味を持った。富岡に士族の娘たちが集まって教育を受け、全国に知識と技能を広めた。シルクの物語はまちづくりと大きくかかわっている」

(高崎支社 関口雅弘)