絹人往来

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繭玉うどん 健康願い天の恵み活用 橋本 健治さん(65) 館林市堀工町 掲載日:2008/01/03


「みんなが幸福になってほしい」という願いを込めて作ったのれんの前に立つ橋本さん
「みんなが幸福になってほしい」という願いを込めて作ったのれんの前に立つ橋本さん

 「シルクパウダーを練り込んだ繭玉うどんを出しているのは恐らく日本でうちだけ。シルクは美容にも健康にも効果がある。本当に素晴らしい天の恵みだね」
 館林市堀工町のうどん店「もり陣」の店主。繭を粉状にして、うどん粉と練り合わせて作る「繭玉うどん」は店の看板メニューだ。
 繭は県内の製糸工場から直接仕入れたものを使う。「つやがあって舌触りもよく滑らか。細いのにこしがある」と評判の繭玉うどんは、うどんが特産品の館林でも注目を集め、今では店に欠かせない1品となっている。しかし、完成までには試行錯誤の日々が続き、10年近い歳月がかかった。
 「シルクパウダーを入れ過ぎてしまうとにおいがきつすぎておいしくない。かといって少なければ売りにならないし、シルクの持つ効果も期待できない。お客さんに食べてもらいながら、今の配合にたどり着いたのは3年くらい前。保湿効果が高いから時間がたってからでもおいしく食べられるけれど、お店で出すときはちゃんとゆでたてを出してますよ」
 18歳から東京で建築内装の仕事をやってきた。46歳の時、館林に戻ってきたのを契機にうどん店を始めた。昔から物作りが得意で、「人がやらない独創的なことにチャレンジする」性分。孫とともに出品している市の創意くふう作品展では入賞の常連になっているほか、今も続けている内装業では「磁石のつく壁紙」を考案するなど、館林きってのアイデアマンとして知られている。
 繭玉うどんの開発に取り組み始めたのは10年前。病気で倒れた時に東京の病院で「繭は健康にいい」と、勧められたのがきっかけだった。
 「繭玉は持っているだけで体が温かくなってくる。体を悪くしてから繭玉を肌身離さず持っていたら、だんだん元気になってきた。これだけ健康に効果のある繭をもっとたくさんの人に知ってほしい」
 現在、シルクを生かした商品を開発中。これまでにもシルク入りの塩、繭を染色して加工したアクセサリーなどを作っており、まだまだアイデアは尽きない。
 「健康にいい物を一生懸命作りたい。自分も繭に救われた。この健康を多くの人に分けてあげたい」

(館林支局 市来丈)