絹人往来

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マルベリー 新たな特産品開発を 住谷 節子さん(57) 前橋市荒口町 掲載日:2008/05/22


桑の実の栽培に情熱を注ぐ住谷さん
桑の実の栽培に情熱を注ぐ住谷さん

 フルーツとしての桑の実(マルベリー)の栽培を1997年から始めた。趣味でハーブを栽培していたが、農業経験はなかった。ヨーロッパや中近東では食用として桑の実栽培が盛んだが、日本では先駆的だった。
 「きっかけは父親が倒れ、果樹園の管理を任されたこと。農業には昔から心引かれていた。以前、岩手大農学部の公開講座を受けた時に食べたブルーベリーがとてもおいしかった。その味が忘れられず、ブルーベリーとマルベリーを栽培しようと思った」
 桑について学ぶため、茨城県つくば市にある国の研究所に通い知識を蓄えた。国内には約2000種類あるが、そのうち多くの実を付ける約200種を一通り味わい、収量や大きさも確かめていった。
 「明治初期からある果樹園は父の代から、除草剤など農薬は一切使っていない。農薬は怖いという思いがあるから無農薬を続けている。桑を育てるのは簡単だが、とにかく虫に弱い。ブルーベリーとは比較にならないくらい大変」
 県固有品種「多胡早生(わせ)」のほか、ララベリーなど10数種の桑を栽培。主に無農薬の食材を扱う大阪の業者に卸している。ほかにも桑の実を使ったジャムや焼き菓子など加工品にも取り組み、商品化した。全国都市緑化ぐんまフェアの前橋公園会場・マルベリーハウスで展示している。
 夫が単身赴任中で、作業はすべて1人。だが、頼りになる“助っ人”が都会から来てくれる。
 「インターネットで知り、農作業をしたいと手伝いに来てくれる人がいる。ここでは時間がゆっくりと流れ、田舎を体験できる。それが都会の人にはいいようだ」
 住谷さんの活動に刺激され、新たな動きも出てきた。
 3年ほど前、「桑をやりたい」という前橋・勢多の女性グループが立ち上がり、共同で商品開発に取り組み始めた。
 「桑の実のお酢などを開発しようとしている。これからの目標は仲間たちと協力し、桑の実を使った新たな加工品を商品化すること。群馬の特産は桑と小麦粉だと思う。それらを生かして群馬の新しい特産品をつくりたい」

(前橋支局 須藤拓生)