古布再生 着物文化の粋求めて 小林 靄さん 高崎市東町 掲載日:2008/04/16
「古布の魅力は広がり続けている」と話す小林さん
昔の人が大切に着ていた着物。捨てられずにたんすの奥に大切にしまわれていた江戸時代から現代までの着物や風呂敷、のぼり旗などの古布を、現代風のデザインで洋服などによみがえらせている。
古布のリフォームは、もともとは友達3人と始めた。現在は榛東村の衣服・雑貨販売の地球屋のデザイナー兼統括マネジャーとして取り組んでいる。
「古布の魅力は何といっても色目」と強調する。日本には「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」という言葉があり、茶色は48、ねずみ色は100あるという。「日本の着物文化の粋は、この多様な色が基本にあり、古布の魅力もそこに行き着く」
このほか、絹織物の古布には着心地や肌触りのよさもあるという。絹はポリエステルなどと比べ、繊維としては弱いものの着た時の感触がよく、紫外線をシャットアウトする効果もある。さらに「布そのものが時代を背負ってきたため、独特の質感がある」。
「伝統的な着物の場合、季節や年齢、着ていく場所などさまざまな制約を受けるため、活動的でない。高価だし、着るのにも手間がかかる。だが、洋服にリフォームすると、そういう制約から解き放たれる」
小林さんの作る服は布をたっぷり使い、ゆったりと着られるものが多い。着る人の年齢や体形をカバーし、気分が高揚するのも特徴という。
また、デザイン段階から布を選び、個性を発揮する手法ではなく、出合った布に合うデザインを追い求める創作スタイルを取っている。古布ならではの色あせや傷も味わいを深める要素ととらえ、服のデザインに巧みに取り入れている。
服以外にもちりめんなどの古布をバッグや帽子などに再生。つるしびなや創作人形、座布団、のれんなどに幅広く活用している。
「パリコレなど世界のファッションショーでも日本の着物柄や色は注目される。質の良い日本のシルクで作られた服は、デザインを工夫すれば、今後世界にもっと広がっていく」