絹人往来

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デザイン 形になる楽しさ実感 芝田 麻衣さん(18) みどり市笠懸町阿左美 掲載日:2008/02/06


教室で卓上織機を手にする芝田さん
教室で卓上織機を手にする
芝田さん

 「デザインを考えるのが好き。好きなモチーフを組み合わせて、それが形になって残るのが楽しい。今もデザインの授業が1番おもしろい」
 桐生工業高校(桐生市西久方町)染織デザイン科の3年生。同科で学んだ姉をみて、「楽しそう」と自分も同じ学科を志望した。
 「授業を通して、ものづくりにデザイン以外の過程があることを知った。初めて織機を見た時は、複雑で自分にできるか不安だったけれど、1つのものを作る大変さを学ぶことができた」
 以前は桐生市東に住み、祖父と父はそこで織物の紋柄をデザインする図案屋を営んでいた。作業は細かく、星紙の小さなマスを1つ1つ埋めて柄を仕上げる。今は亡き父の作業に没頭する姿からは、仕事に対する愛情を感じた。
 「父の図案はツルや花がメーンの伝統的な柄だった。浴衣や帯の柄がどういうものか、子供のころから知っていたので、自分でデザインする時もイメージがわきやすかった」
 昨年10月、桐生織物協同組合が取り組む若者発案の和装デザイン開発事業で、応募したデザインが優秀賞を受賞。受賞作を元に商品化された細帯は、同月に開かれた問屋向けの求評会でも最高賞の経済産業大臣賞に輝いた。
 「自分にとってデザインは好きなものを組み合わせること。猫やハートをあしらってかわいらしく、若い人も楽しめる柄に仕上げた。賞がもらえるなんて思わなかったから、すごくうれしかった」
 学校行事の中で和裁や草木染など、桐生の織物文化を知る機会も多かった。家族や土地から学んだ伝統技術やものづくりの大切さは、高校時代の大きな収穫だ。
 「和服を着る人が少なくなって、父は図案屋をやめてしまった。コンクールなど、若い人が着物に触れる場所がもっと増えれば、良さが分かると思う」
 卒業後、専門分野とは違う市内の事務機器製造会社に就職する。
 「デザインは今も好き。だからこそ趣味で続けたい。どんな仕事も同じものづくり。でも、いつか仕事でもデザインにかかわれたらいいな」

(桐生支局 高野早紀)