絹人往来

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引込 銘仙守る工程に神経 福島 うた子さん(71) 伊勢崎市下蓮町 掲載日:2008/01/26


「仕事ができることに張り合いを感じている」と話す福島さん
「仕事ができることに張り合いを感じている」と話す福島さん

 伊勢崎銘仙を作る工程の1つ「引込(ひっこみ)」という仕事を長年続け、今でも現役で仕事をしている。
 「仕事をしていられることに張り合いと幸せを感じている」
 引込は、糸の順番である“あじ”を整えて機織り機にかけられるようにする作業。
 「伊勢崎銘仙を作る中で、引込は機織り前の最後の工程。あじができないと機は織れないから、なくてはならない仕事。あじが狂うと、布に穴が開いたり、柄にすき間ができて製品にならなくなってしまうから、間違いは許されない」
 義母が引込をしていたため、自然と携わるようになった。
 「見よう見まねで覚えた。細かい作業で、慣れるまでは大変だった」
 80年以上使い続けている引込台を使って、手早く糸の順番を整えていく。「手がやり方を覚えている。手元を見なくてもできるほど」と笑顔を見せる。
 「糸を切らないようにするのがこの仕事のポイントの1つ。糸の種類によっては、少し力を入れただけでも切れてしまうから、すごく神経を使う」
 伊勢崎銘仙は分業で作られているため、ほかの工程のことも考えて仕事をしなければならない。
 「布を作るためには、さまざまな工程がある。自分の仕事で間違いがあれば、次の工程の人が骨を折ることになってしまう」
 両親も伊勢崎銘仙の糸に柄を付ける「縛り」をしていた。家族で糸にかかわる仕事に携わり、結婚する前には機織りも経験した。
 「この地域は糸の仕事が盛んで、どこの家でもやっていた。機織り機の音が夜遅くまで響いていた」
 今では糸に関係する仕事をしている人が少なくなり、仕事も減ってしまった。
 「伊勢崎銘仙を次の世代に引き継いでいかなければならない。引込は、伊勢崎銘仙を守る大事な工程の1つ。仕事ができるうちはずっと続けていきたい」

(伊勢崎支局 伊草実奈)