絹人往来

絹人往来

古い着物地を再利用 布ぞうり ●(木ヘンに却の去がタ)沢八重子さん(74) 高崎市城山町 掲載日:2008/09/23


高崎市矢中公民館で布ぞうり作りを教える●(木ヘンに却の去がタ)沢さん
高崎市矢中公民館で布ぞうり作りを教える●(木ヘンに却の去がタ)沢さん

 古い着物の生地などを再利用して作る「布ぞうり」がブームとなっている。高崎市城山公民館の館長を務める傍ら、布ぞうり作りの講師として他地域の公民館に“出張”することも多い。
 「人気の理由はいろいろあって、リサイクルということでエコロジーの考えに合っている。それに、鼻緒の結び目が足の裏のつぼを刺激して健康にいい。スリッパのようにして家で履いていると、自然と床を掃除していることになるし、洗濯もできて使いやすい」
 2005年の愛知万博での展示がブームのきっかけという。使用する布は着物、ネクタイ、ふとん生地などさまざま。公民館の教室では城山地区生涯学習委員の荒井晴治さん(68)がアシスタントを務め、荒井さんが考案した独自の作業台を使って教えている。
 「基本的には昔のわら草履を作るのと同じ。ビニールロープで骨組みを作り布を編んでいくが、絹を使えば光沢があって、ソフトで柔らかい履き心地になる。色の組み合わせでデザインも楽しめる。ただ、腰をかがめた昔のような作り方だと大変。ロープを引っかけられる作業台を作り、机の上で作業ができるように工夫した」
 生命保険会社で長く社員教育を担当していた。公民館でもフットワーク良く受講者の間を回り、てきぱきと指導する。
 「皆さん最初は作るのが難しくて大変だと言いながら、出来上がると楽しそうにしている。城山公民館では受講者の3割くらいの人が家でも実際に作っているようだ。古い着物を布ぞうりにしたとか、シーツを使ってみたとか、そうした声を聞くとうれしい」
 榛東村出身。桑畑の風景に囲まれて育ち、草履の編み方は祖父の手作業を見ていて自然に覚えた。城山公民館では布ぞうりのほかにも、風呂敷の使い方を学ぶ教室、竹とんぼ作りの教室など、日本の伝統文化をテーマにした活動が盛んだ。
 「今の生活は西洋かぶれというか、何でも西洋風になっている。日本の伝統的なものの良さを見直し、若い人に伝えたい。これから寒い季節になっていくと、布ぞうり作りは家の中でできる趣味としてもいいと思う」

(高崎支社 関口雅弘)