リフォーム たんすの着物を再生 割田 幸子さん(73) 中之条町下沢渡 掲載日:2008/11/06
工房でリフォームの洋服を手にする割田さん
着ることが無くなった古い着物をほどいて洋服に仕立て直し、新たな魅力を引き出している。
「伊勢崎銘仙やちりめんの着物を洋服にして自分で着たり、友人に譲ったりして楽しんでいる。絹の布は軽くて暖かいから素晴らしい」
13年ほど前、東京に住んでいる長女がパッチワークを始める時、古い和布を欲しがったので、着物の片袖をほぐして送った。
「片袖だけ無くなった着物を見ているうちに、このままではもったいないという気持ちがわいてきた」。結婚するまでは前橋市の洋裁学校の教師をしていたこともあり、もともと洋服を仕立てるのが大好きだった。
結婚してからは、家業の製材業を夫と経営することに専心していたので、洋裁の魅力を忘れていた。この出来事をきっかけに再び若いころの思いがよみがえってきた。
「子供たちも独立してそれぞれの道を歩んでいる。自由な時間ができたので家族や知人に着物から洋服へのリフォームをしてみたい、と伝えた。すると、知人らがたんすのなかに眠っていた着物を『新しく生きがえらせて』と次々に持ってきてくれた」
ブラウスやベスト、スカートなどを得意の洋裁で仕立てた。製材所の一角に40平方メートルほどの工房「粋蔵 Classic」を設け、ミシンも設置した。
「光沢がよく、肌触りがよいゴージャスなシルクの一点物に生まれ変わるのだからたまらない。色合いや柄は、たくさんの着物から洋服に合いそうなものを選び、自分好みのデザインで仕上げる。リフォームとは思えないできあがりになる」
1年に1回ほど、自宅を開放して展示会を開催。会場を訪れた人の中から購入を希望する声も聞かれるようになり、オリジナルのタグを作って洋服に縫い付けるようになった。
「趣味が高じて、少し実益にもつながった。好きな洋裁が続けられるので本当に楽しい。1日のうち、半日は工房で過ごしている」
これまでに仕上げた和服生地のリフォーム洋服は300着ほど。「これからも可能な限り続けたい」と意欲をのぞかせる。