絹人往来

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繭クラフト指導 素材生かし置物作り 宇野 節子さん(59) 前橋市南町 掲載日:2007/08/25


「繭クラフトの魅力を広めたい」と話す宇野さん
「繭クラフトの魅力を広めたい」と話す宇野さん

 高崎市金古町の県立日本絹の里で、繭を使った手工芸品作りを指導している。今月開いた「夏休み子供シルク教室」では、愛らしいペンギンの置物作りが人気を集めた。
 「繭をクラフトの素材としてみると、紙や粘土にはない魅力がある。はさみで切り込みを入れても糸の固まりだから、とてもしっかりしているし、同じ楕円(だえん)形の繭でも切る場所や角度によって微妙なニュアンスが表現できる。実際に始めてみれば面白さを感じてもらえると思う」
 7年前、伊香保のホテルで全国の顧客に繭をアピールする仕事に携わり、繭クラフトの世界に出合った。作品のデザインはすべてオリジナル。動物などを独自の発想で表現する。
 「ホテルの顧客に繭をお土産に持って帰ってもらおうということで、何か作ることになった。お手本もなくどうしていいか分からず、考えた末に繭を半分に切って鈴を入れ、輪ゴムで通したのが第一作だった。その次は繭を縦に半分に切り、ウサギの形にしてみた。繭クラフトは花もきれいだが、動物を中心に作ってきた。お月見とか、お正月とか、季節の行事も作品にしていきたい」
 2年前から日本絹の里の講師となり、考案した20―30種類の作品のうち、15分から30分程度の短時間でできるものを教室の題材に提供している。
 「趣味で洋裁はしていたが、繭クラフトは手芸というよりもパーツを1つ1つ組み立てていって、工作やプラモデルの楽しさに通じるのでは。教室では子供の引率で参加したお父さんの方が、いつの間にか夢中になっていることがよくある。子供は考え方がとても柔軟で、お手本の形を自由に変えて作る。教えている私の方が勉強させられてしまう」
 作品を県内外に公募した「まゆクラフト作品展2007」が12月、日本絹の里で開かれ、その審査員を務める。
 「横浜に住んでいる人から、繭クラフトをやりたくて大手工芸品店に行ってみたが、都会ではどこも繭を置いてなくて―との話を聞かされたことがある。初めてみれば面白いのに、知らない人には全然知られていない。繭クラフトの楽しさを県外にも広めていきたい」

(高崎支社 関口雅弘)