絹人往来

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伝道師 「世界遺産」を身近に 成田裕美子さん(56) 太田市粕川町 掲載日:2007/08/17


体験学習を通して、絹がいかに手間がかかるかを知った」と県繊維工業試験場(桐生市)で話す成田さん
体験学習を通して、絹がいかに手間がかかるかを知った」と県繊維工業試験場(桐生市)で話す成田さん

 今年4月、富岡製糸場世界遺産伝道師協会に4支部が組織された。その一つ、東毛支部の支部長を務める。7月7日には、桐生市本町で毎月第1土曜日に開かれている絹市「買場紗綾市(かいばさやいち)」に参加し、チラシ配りやパネル展示を行った。
 「支部ごとにPRすることで、地域の人たちにより世界遺産を身近に感じてもらいたい。特に東毛では、桐生が織物には欠かせない街ということを周知したい」
 2004年11月、第2回講習会を受講して伝道師となった。
 「富岡製糸場は名前を知っているだけだった。世界遺産への登録を目指していることに驚き、勉強したいと思った」
 7月から始まった「絹へのふれあい体験学習講座」(県主催)にも参加している。座繰り講習や蚕の飼育実習、クワ取りなどを通して、養蚕から絹糸になるまでのプロセスを学んでいる。
 「以前、着物を縫ったり着付けをしていた。でも、それは絹の最終段階。今学んでいることを当時から知っていたら、着物を扱う感覚も少し違っていたかもしれない」
 文部科学省委託事業の一環で、関東の絹の歴史をまとめたホームページ(HP)「関東絹の道」の製作活動にも昨年度、参加した。絹に関する県内の建造物を写真に収め、40枚が掲載された。
 「知らない場所を歩いて回り、初めて見る建物もあった。すべてが貴重なものだと感じた」
 2年ほど前まで、東京都内のエッセー教室に通っていた。その仲間たちとの交流はまだ続いている。楽しみは年1回の1泊旅行。今年は富岡製糸場に決まり、案内役を頼まれた。
 総勢12人。マイクロバスを借り切り、富岡製糸場のほか、六合村赤岩地区の養蚕農家群や中之条町の冨沢家住宅なども見学する予定だ。
 「東京、埼玉、神奈川、関東各地から仲間が参加する。遺産群をPRする絶好のチャンスだし、県外の人の目にはどう映っているのかを知る良い機会にもなる」
 「こんなに早く世界遺産暫定リスト入りが決まるとは思わなかった。世界遺産といえば自然や神社というイメージが強かったが、認識が変わってきた」

(太田支社 臂真里緒)