絹人往来

絹人往来

繭クラフト 養蚕から手塩にかけて 青木チトセさん(72) 前橋市粕川町室沢 掲載日:2007/10/16


 自分で生産した繭を使ってコサージュなどを作る青木さん
自分で生産した繭を使ってコサージュなどを作る青木さん

 分割した繭を1枚ずつはがしたり、細かく切り刻んで花びらを作る。光沢のある1輪の花は丁寧な作業で仕上げられている。繭クラフトを手掛けるようになって約20年。知り合いに頼まれて作ったブーケやコサージュは数え切れない。
 何よりも自分が手塩にかけた繭を使うことに誇りを持っている。
 「自分で育てたものだから、なおさら大切にしないといけない。たとえ端切れでも大事にしまってある。繭は蚕がおおごとして作るんだからね。少しでもむだにしたらもったいない」
 25歳で嫁ぎ、夫の家族とともに養蚕に励んだ。
 「少しずつ桑畑を増やしていった。初めのころは『(収繭量を)1トン取りたいね』って、みんなで言っていた。そのうち、村1番を目指して年間6回掃き立てをするようになり、3トンまで伸ばした」
 こうした養蚕の合間に、繭クラフトを始めた。1990年に全国養蚕農業協同組合連合会主催の第1回マユ・クラフト・コンテストのフラワーの部で優秀賞を獲得。大輪のボタンが評価された。
 現在は毎週、地元のグループに指導しているほか、県内各地に出向いて繭クラフトの魅力を紹介している。
 白や黄、黄緑色になった自然の繭だけでなく、赤色などに染めたものも使う。花びらや葉はすべて手作りだ。
 「黄緑色になる笹(ささ)繭は色がきれいで、うんといいんですよ。自然のままの色だから絹の光沢がある。コサージュを作るとすごくきれい」
 夫を亡くしてからも、養蚕はやめなかった。
 「蚕の顔を見るのが好き。話をしながら桑をあげている。上蔟(ぞく)以外の仕事は1人でやっている。量は少ないけど、元気に育ってくれるのがうれしい」
 最近は年2回掃き立てて、約250キロの収繭量。出荷した残りの30キロほどを繭クラフト用に保管している。
 「養蚕は生きがいだから、いつまでも続けたい。繭クラフトをするためにも体に気をつけなきゃね。毎年、『また頑張んなくちゃ』と思う」

(前橋支局 千明良孝)