世界遺産学習 運命感じる伝道活動 井上 雄二さん(63) 伊勢崎市宮前町 掲載日:2007/09/13
世界遺産や富岡製糸場にかかわる本、パンフレットを前に活動への意欲を語る井上さん
富岡製糸場世界遺産伝道師協会の伝道師で、今年4月に新設された学習部の部長に就任した。
「伝道師からの提案や要望を受けて研修会を開いたり、協会のワーキンググループ間の連携調整、解説資料の作成が主な仕事。学習部ができ、伝道師が世界遺産への理解を深めることができる」
若いころから神社や仏閣、史跡を見ながら歩くのが好きだった。定年退職が近くなったころ、富岡製糸場を見学した。
「外観を説明してもらい、初めて製糸場について詳しく知った。赤れんがの壮大さに圧倒され、群馬にもこれほど立派な建物があったんだと衝撃を受けた」
38年間の公務員生活を終え、2004年11月に同協会の養成講座を受け、伝道師となった。
「4歳の時、機屋を営む父を亡くした。父の仕事ぶりは記憶にないが、自分が世界遺産に興味を持ち、伝道師として、絹にかかわる活動をしているのには運命を感じる。父に、無意識に背中を押された気がする」
現在、高崎市の日本絹の里が主催し、本県の絹文化について学ぶことができる「日本絹の里大学」に通っている。
「講義では蚕の多様性や桑の話、養蚕のルーツを知ることができる。伝道師になったものの、知らないことがたくさんある。今から昔までたどることは伝道師にとって重要。一般の人から質問を受け、知らないのでは恥ずかしい。少しでも自分が得た知識を協会に還元し、会員のレベルアップを目指したい」
8月25、26の両日、六合村赤岩地区で開かれた「シルクカントリーin赤岩」にも参加。村の女性たちとともに、観光客に繭クラフト作りを指導した。
「多くの人が村を自分の足で歩き、景観を眺め、絹産業を実感していた。世界遺産への関心が高まっていることを強く感じた」
学校キャラバンや県内外でのキャンペーンなど地道な活動の大切さも痛感した。
「富岡製糸場などが暫定リスト入りして以降、協会の活動がさらに注目されるようになった。伝道師と県民がさらに一体感を持てるよう、こつこつと群馬の絹文化を訴え続けていきたい」