絹人往来

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和服 イベントで魅力発信 江泉 和子さん(69) 大泉町朝日 掲載日:2007/12/26


「着物は世界に誇れる素晴らしい文化」と語る江泉さん
「着物は世界に誇れる素晴らしい文化」と語る江泉さん

 「着物は世界に誇れる日本の文化。本物の着物を1人でも多くの人に着てもらいたい」
 大泉町朝日で和服店を経営する。
 「母親は毎日着物を着ていたし、自分も日舞や茶道を習っていた。昔は和服は日常に溶け込んでいた」
 普段着から結婚式など格式のある場所に着ていく訪問着まで、さまざまな種類の着物を場面に合わせて着ていたという。
 「華やかで、日本らしい四季折々の季節感がでるから、子供のころから着物が好きだった」
 結婚して出産後、大好きな着物に囲まれながら、着物を買う資金を稼ぐため、自宅で和服店を始めた。
 「口コミだけが頼りだったから、良い和服を適正な値段で販売することを心掛けた。同じ値段でも問屋によって質は異なる。長続きする商売をするため、しっかりとした商品を卸してくれる問屋と付き合った」
 夫が病気になったのをきっかけに和服販売に本腰を入れ、着付け教室も開くようになった。
 「何度も京都に足を運び、呉服店の内外装をスケッチして店作りの参考にした。お香をたいたり、貝合わせをしたり、日本の伝統文化を発信できるようなお店を目指した」
 努力のかいあって商売は繁盛。出張で着付けに出向くサービスも好評だった。しかし、バブル経済崩壊を境に商売は振るわなくなった。状況を打破するため、10年前に着物の魅力を再発見してもらうイベント「華やかな出会い」を始めた。舞台で着付けを実演するなどし、多くのファンが集う。着付けの後に、邦楽の演奏会も開いた。
 「日本の伝統文化に触れてもらい、日本の素晴らしさを確認してほしかった」
 高級品が多く、着物が「特別なもの」になってしまっていると感じている。
 「昔のように普段から着られるものがあれば、もっと気軽になり、浸透する。着物文化はしっかりと後世に伝えなければならない。日本の誇りだから」

(大泉支局 宮村恵介)