草木染 絹使い、天然の美しさ 神戸 則子さん(58) 富岡市七日市 掲載日:2008/11/14
「自然の恵みに感謝して、草木染を楽しみたい」と話す神戸さん
本格的に草木染を始めて10年ほどになる。「昔から興味があった。自分で染めたシルクのスカーフを身に着けたい、そんな気持ちがきっかけ」。40年以上のキャリアを持つ華道の知識も生かしながら体験教室に通い、本を読むなどして腕を磨いた。
現在は富岡市内の公民館数カ所で、草木染教室の講師を務める。参加者は60代女性が中心。「楽しみをいろんな人と分かち合いたいと思い、引き受けている。喜んでもらえるとすごくうれしい」と声を弾ませる。
プライベートでは野生の植物で草木染を楽しむことが多い。「時間を見つけて夫の実家がある下仁田町や、上野村の山林へ材料探しに出掛ける。野山の草花で染めると買ったものとは違った色が出る。四季折々の植物を染料にするのは面白い」
植物であれば、自宅の木でも材料に使う。「庭のヒイラギで染めようと思って切っていたら、夫に『庭が寂しくなるからやめてくれ』と言われたこともあった」と少し恥ずかしそうに笑う。
染料だけでなく、染め方にもこだわりがある。最近は一度染めた布をもう一度アイで染め直す「重ね染め」が気に入っている。今年10月には知人の草木染愛好家に声を掛けて、初めて重ね染めの作品展を開いた。「どの作品も、染めた人ならではの色に仕上がっていた。見応えがある展示になった」と満足そうに振り返る。
ほとんどの作品には市内で栽培したアイが使われていた。「数年前から個人的に栽培を始めた。このごろはいくつかの公民館にも呼び掛けて、育ててもらっている。もっとたくさんの人に地元のアイを使った染めに挑戦してほしい」
染める生地には木綿を使うこともあるが、やはり絹が多くなる。「染め上がりの色がきれいなのはもちろん、天然の美しさがある。植物と融合するし、出来上がった品物は身に着けていて気持ちいい」と素材の良さに太鼓判を押す。
すっかり生活の一部になっている草木染。「これからも自然の恵みに感謝しながら、染めを楽しんでいきたい」。まさに自然体で付き合っていこうと思っている。