絹人往来

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現場 織都で布作り学ぶ 関 優さん(25) 桐生市東久方町 掲載日:2007/09/25


「布作りは過程がおもしろい」と言う関さん
「布作りは過程がおもしろい」と言う関さん

 昨年7月から、桐生市東久方町の金子織物で働いている。会社はカーテンなどのインテリアや婦人服地を扱う。名刺に「企画」と書かれた仕事は、パソコン作業や工場でのサンプル作り、外回りまで幅広くこなす。
 「糸を選び、染め、整経して織る。ここにいると、布ができる過程のすべてを知ることができる。さまざまな現場を見ることが刺激になるし、やることすべてが勉強だと思っている」
 東京都江東区出身。高校は進学校で、クラスメートのほとんどは大学進学を目標にしていた。勉強は好きじゃない。周りと違ったことをしたい、と思っていた。
 「行き着いたのが服作り。家庭科の教諭や裁縫が得意な人を見つけては指導を仰いだ。夢のための練習と思い、自分では着ないスカートなどを作っては満足していた。1人でできる作業だから没頭してしまい、周りから見れば変わっていたかも」
 東京造形大に進学し、テキスタイルデザインを専攻。大学で出会った教授たちの影響で、より織物の世界にのめり込んだ。
 「織物の楽しさを実感できる授業だった。自分で糸から染めて手機で織ると、布ができる過程が分かっておもしろかった。このころから、服作りより布作りに興味が移ってきた」
 大学2年の時、テキスタイルデザイナーの須藤玲子教授の授業を受けて、布地への思いが定まった。須藤さんは、桐生在住のテキスタイルプランナー、新井淳一氏らが設立した「布(NUNO)」(東京都)の立ち上げに参加し、現在は同社のディレクターとしてオリジナルテキスタイルの製造販売を手掛けている。「すごい人だ」と思った。一日中、教授に張り付いて知識を吸収しようとした。
 「卒業後、織物のアート作品を発表していたが思うようにいかない。そんな時、須藤さんから『桐生に行きなさい』と金子織物を紹介された。須藤さんは、桐生で織物を学ぶ大切さを知っていたと思う。基礎を勉強しようと決心した」
 ものづくりに携わる人間として、感性を磨くように心掛けている。休日は東京に出掛け、デパートや服飾店を巡って、服地の流行に触れる時間も欠かさない。
 「織物に興味を持っている若者は多い。市内の織物業界も後継者不足が問題になっているけれど、やる気のある若い人と産地がつながれば、もっと良いものづくりができると思う」

(桐生支局 高野早紀)