着付け 着物通し触れる文化 池田 歩さん(20) 高崎市江木町 掲載日:2007/11/06
師匠でありライバルでもある母と着物をたたむ
池田さん(右)
呉服店を経営していた祖母の影響で、幼いころから手縫いの浴衣や着物の袖に手を通す機会が多かった。看護師の養成学校に通いながら病院勤務をこなす忙しい生活の中、「着物に触れると気が引き締まる」と着物の着付けを習い続けている。
着付けの師匠の母、津留子さん(43)をはじめ、家族や親類に着物を好む人が多く、卒業式など晴れ舞台に一家は和装で臨んでいる。
着付け教室に通うようになったのは中学3年から。阿波おどり愛好家のグループに加わったのがきっかけだった。着物を着る機会が増えたため、「自力で着られるようになりたい」と思うようになった。
教室に入ると、着物の魅力にひかれていった。高校時代はアルバイトで教室代を捻出(ねんしゅつ)し、2年早く習い始めた母と一緒に毎週、市内の教室に通った。
生徒を指導できる立場の「2級講師」の試験に合格。現在は独立して自分の教室を持てる「1級講師」を目指し、礼装や男物など複雑な着付けを学んでいる。まだまだ知らないことが多いと貪欲(どんよく)だ。
「けいこでお辞儀の仕方や歩き方、立ち居振る舞いなどマナーが身に着き、女らしさが磨かれたと思う。自慢できる技術を習得でき、自信にもつながった」
着付けの魅力を強く感じているだけに、教室に同世代の人が少ないのが寂しいという。
「関心がある人は多いが、始めるチャンスがないと思う。人に教えることはまだできないけど、若い自分が着物を着るのを見て、始めてくれればうれしい」
着物を通じて絹文化に触れており、県内で活発化している世界遺産登録に向けた動きに注目している。
「世代を超えて運動を盛り上げていくには、若者らにすそ野を広げていくことが大切。そのためには、着物は関心を持ちやすい切り口になると思う」
(高崎支社 多田素生)