純白のブーケ花嫁に 繭クラフト 田村瑠璃子さん(72) 東吾妻町原町 掲載日:2008/02/09
「今度は動物の大作に挑戦したい」と話す田村さん
「養蚕婦人クラブで20数年前に繭クラフトを初めて習った時、作品を見てすごく感動した。それまで出荷できない繭は、セーターを編んだり、真綿にして布団に入れたぐらい。お花のような飾り物になるなんて夢にも思わなかった」
実家も、嫁ぎ先も養蚕農家。今でも夫の国吉さん(73)と2人で年に5回、蚕を飼育、約800キロの繭を出荷している。
「いい繭ができても、少しでも汚れると出荷できない。クラフト用ならちょっとくらいシミがあっても白いまま使えるし、汚れが目立てば濃い色で染めればいい。繭を無駄にしないよう、再利用のつもりで始めたけど、今はクラフトが楽しみで養蚕を続けているようなところもある」
クラフト用に、黄色や薄い緑色の繭をつくる蚕を飼育。簡単にできる干支(えと)の人形や小さな花から、完成までに1、2カ月かかる大作まで、時間を見つけては作品づくりに没頭している。
「本物そっくりの色を出したり、花びらをうまく重ねたりするのが難しい。でもつくっている時に、どんな風に仕上がるかなと想像するとおもしろくて作業をやめられなくなる。小学校や婦人会の集まりなどで教えると『こんなに素晴らしい作品ができるんですか』と喜ばれるのも楽しみ」
「クラフトを始めたころ、長男の嫁に、バラやランなど大小さまざまな花を組み合わせたブーケをプレゼントした。それがきっかけで、めいや知人の結婚式でも頼まれるようになり、これまで10個くらい作った。ブーケを作る時は、幸せになってほしいと思いながら花びら1つ1つに願いを込める。『光を浴びると光沢が全然違う』と喜んでくれるのがうれしくて、作る前に回転まぶしからとびきり白い繭をとっておく」
日本絹の里で開かれる「まゆクラフト作品展」にも出品。2005年に懸崖(けんがい)づくりのキクを表現した作品で審査員奨励賞を受賞するなど計4回入賞した。
「養蚕の賞は夫の名前でもらうので、いつか自分の名前でも賞状がほしいと思っていた。だから、作品展で入賞したときはすごくうれしかった」