繭クラフト 風合い生かし花、人形 斎藤 とく子さん(73) 沼田市上発知町 掲載日:2007/06/02
繭クラフトに精を出す斎藤さん
養蚕農家のかたわら、繭クラフトの講師として地元のJA利根沼田池田支所で年2回主婦らに作り方を指導している。干支(えと)をモチーフにした繭人形や、サクラ、ウメなど作品も多彩で毎回30人近い参加者が訪れる。
9年前、利根沼田養蚕婦人クラブの会合で講師に教えてもらったのがきっかけ。その時は繭を四つに切って、ヤマボウシの花びらを作った。その後、忙しくてなかなか勉強する機会がなかったが、6年前から本格的に取り組んだ。花ならば一通りのものはできるという。
結婚以来、50年余にわたって養蚕に従事している。かつては旧沼田市で1位の収繭量を誇ったこともあったが、現在は年間50―60キロ程度。収入のほとんどはコメとコンニャクの出荷が占める。
「実家も養蚕をしていたので、嫁に来たときも抵抗はなかった。蚕が毎日大きくなるのを見るのは本当に楽しみ。よく仲間から『うちも昔は蚕を飼っていた』と懐かしがられる。繭クラフトがもっと以前から広まっていたら、まだ養蚕を続けている人が多かったかもしれない」
自宅の離れで色繭作りにも挑戦する。蚕に染料を付けた桑の葉を与えて、ピンクや黄色、緑の繭を作る。繭に直接色を塗るのと違って、自然な風合いが出せるのが魅力という。
「染料の入った桑を食べると次第に蚕の体が赤や青になってくる。それでも、繭になると全部がその色にならずに、なぜか黄色や緑の繭もできる。やはり生き物相手なので、欲しい色を一度にたくさん作るのは難しい」
2年前から高崎市の日本絹の里で行われている「まゆクラフト作品展」に出品している。昨年はゴヨウツツジで優良賞に選ばれた。今年もウメとボケをモチーフにした作品で上位入賞を目指している。
「この花はどうやったら作れるか考えて、気になった花は写真と一緒に特徴をメモして取っておく。今一番作りたいのはネコヤナギ。あの白い毛のふわふわした感じを繭で出したら、良い作品に仕上がると思う。作品展を通じて、良い先輩や仲間と知り合えるようになったのが一番うれしい」