草木染 風合い求め座繰り糸 篠崎 節さん(69) 高崎市上豊岡町 掲載日:2008/02/16
自作の写真や資料を前に、草木染の魅力を語る篠崎さん
姉の夫で、染色家の山崎青樹さん(県重要無形文化財指定者)のもとで草木染の研究に半生を注いできた。創作活動の傍ら、前橋、高崎市内の公民館などで愛好者に指導もしている。
「自然の花や木を使った染料は正倉院の時代からあったが、明治以降は化学染料が使われるようになり、あい染めなどを除いてほとんど途絶えてしまった。山崎さんの助手的な立場で草木染に携わり、何百種類という植物を採集して染色を試してきた。自然の染料は体にもいいはずだし、化学染料のけばけばしさがなく、目に優しい」
茨城県出身。山崎さんの仕事に協力するため高崎市に移り住んで50年になる。最初の10年は試行錯誤の毎日。現在は安中市内の自身の染織所で、主に型染め(糸染めでない型紙での染色)の創作に取り組んでいる。
「草木染には座繰り糸がよく合っている。糸の太さが均一でなく、独特の風合いがある。今でこそ貴重品という感じだが、群馬に来た当初から赤城山周辺で作られた座繰り糸を使った。それをいち早く取り入れ、自分で糸を精練して機屋さんに織ってもらっていた」
植物から染料を作る作業に加え、絵柄のデザイン、型を使っての染色など、総合的な知識、技能が要求される。
「やはり色の出し方が最大の問題。同じ染料を使っても、染め方によって色合いの深さや、柔らかさが違う。色の微妙な合わせ方とか、最終的には染めが重要になってくる」
県立日本絹の里で昨年春、山崎青樹さん、和樹さん親子との<草木染3人展>が開かれた。個展の開催を望む声は多いが、“展示のための展示”は好まない。
「作家という言葉には軽い抵抗がある。染色家でいい。展示会を開くとしても、話題作りを目的としたような着物を作る考えはない。展示して見せるための染色ではなく、着物を着た人が心地よく、いい気持ちになって、その人が美しく見えることが1番だ。個展に来て名刺を差し出して来るような人よりも、一般の名もない人が何回も立ち止まって見て喜んでもらえるものを作りたい。それが1つの評価だと思っている」