絹人往来

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天蚕飼育 和服作り目標に挑戦 小倉 宏さん(59) みどり市大間々町塩沢 掲載日:2007/07/20


輝くような薄緑色に成長した天蚕を前に夢を語る小倉さん夫妻
輝くような薄緑色に成長した天蚕を
前に夢を語る小倉さん夫妻

 「織物業で40年間も糸にかかわってきた人間として、薄緑色に輝く天蚕の生糸で作った和服を着てみたい」
 こんな思いで昨年から天蚕飼育に挑戦している。ハウス内のクヌギの葉には丸々と成長した天蚕約100匹が垂れ下がり、繭になる寸前を迎えている。
 塩沢地区は大間々町北部の山間地。代々養蚕農家で、父親の代までは、この周辺でも大部分の家が養蚕をやっていた。
 「数年前にテレビで天蚕を飼っているのを見て『ああいうことができたらいいな』と思っていた。昨年春、天蚕を飼う中之条の養蚕農家が上毛新聞に掲載され、さっそく夫婦で訪ねた。ちょうどクヌギの枝に卵をつける『山つけ』作業中だった。手伝ったお礼にと300個分の卵をいただき、エサになるクヌギ11本も分けてもらった」
 昔桑畑だった自宅前にそのクヌギを植えた。近所の家から中古パイプをもらい、鳥や虫から守る網を作り約100平方メートルの専用ハウスを造った。
 今年は6月中旬に440個を「山つけ」。翌日から卵がかえり始め、数ミリだった幼虫も10センチ近くになった。
 「大きくなるとたくさん食べるのでクヌギの葉を切らさないようにするのが大変。昨年は足らなくなって山で採ってきたクヌギを花瓶に挿してやった。今年はクヌギがしっかり根付いたが、ここに来て不足し始めている」
 天蚕をいっしょに飼っている妻の千鶴子さん(58)は四年前に県の座繰り講習会を受講しているおり、糸が出来次第織りに挑戦する予定だ。
 今年の収穫も100個程度とあって、目標の和服作りにはまだまだ不十分。
 「このままでは10年はかかってしまう。とりあえず今年繭を収穫したら昨年の分と一緒に糸にしておくつもりだ。来年はもう1棟ハウスを建てて繭を増やしたい」

(わたらせ支局 本田定利)