絹人往来

絹人往来

重伝建 “生活のにおい”魅力に 篠原 辰夫さん(67) 六合村赤岩 掲載日:2007/11/13


「住民の暮らしぶりも赤岩の魅力の1つ」と語る篠原さん
「住民の暮らしぶりも赤岩の魅力の1つ」と語る篠原さん

 県内で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された六合村赤岩で、保存や活性化を目指す地元組織の会長を務めている。集落は歴史ある養蚕家屋が数多く残り、昨年7月の重伝建選定に続き、今年6月には旧官営富岡製糸場と並ぶ絹産業遺産群の1つとして、世界遺産の暫定リスト入りを果たした。
 「重伝建、暫定リスト入りと話が順調に進みすぎて、かえって戸惑うようだ。六合の赤岩が、国の赤岩になり、もうすぐ世界の赤岩になってしまうね」
 「最初は私も(重伝建なんて)なりっこないって思っていたよ。3階建てとか、出梁(でば)りの養蚕農家なんて子供のころから見慣れていたからね。でも意識してみると、こうした家屋がひと所に並んで、いい景観として残っているところは、ほかにないんだよね。訪れる人も『いい景色だね』って言ってくれるので、住民もその気になってきたってところかな」
 これまでに各地の重伝建地区を視察した。その中で、赤岩の特徴や魅力に気付いた。
 「重伝建の中には、建物は立派でも生活感がない地区がある。まるで映画のセットのよう。薄っぺらでつまらなかった。その点、赤岩には人々の本物の暮らしがある。洗たく物、土の付いた農具など、生活のにおいが観光客の心に響くかもしれない」
 観光客に見学、体験してもらおうと、今年は住民が協力して養蚕や座繰り、機織りを始めた。
 「住民はみな非常に熱心。それに加えて、村外から手伝いや教えに来てくださる人もいる。そうした方々の好意に支えられている」
 今年8月下旬の週末、赤岩で観光イベントが開かれた。地元住民の多くがスタッフとして参加、集落の案内をしたり、名物のうどんを振る舞ったりして、観光客との触れ合いを楽しんだ。
 その様子を見て確信した。「やはり赤岩の魅力は『人』。観光客を温かくもてなせる地域性は、今後の観光化の力になる」
 自身も、赤い法被に身を包み、にこやかな笑顔を振りまいていた。

(文化生活部 斉藤洋一)