絹人往来

絹人往来

街づくり提言 “遺産”を地域資源に 高橋 啓太さん(22) 前橋市朝倉町 掲載日:2007/11/16


「住民にも来訪者にも魅力のある街づくりを進めてほしい」と語る高橋さん
「住民にも来訪者にも魅力のある街づくりを進めてほしい」と語る高橋さん

 富岡市で今年9月、前橋工科大主催の研究成果発表会が開かれた。「富岡のまちづくりを考える」をテーマに発表した工学部建築学科の4年生14人の代表を務めた。
 「市中心部を再現した模型を使い、市民に旧官営富岡製糸場を中心とした市活性化案を提言した。街の将来像の1つとして考えてもらえればと思った」
 グループごとにアイデアを披露し、歴史的価値ある遺産を地域資源として生かそうと、学生の目線で考えた。
 発表会は「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産暫定リスト登録を受け、授業で取り組んだ成果を地元住民に知ってもらうのが狙い。
 「世界遺産の定義に始まり、登録基準や登録されている産業遺産の建物活用方法を1つ1つ丁寧に調べた。外国では、遺産を単なる施設として保存するだけでなく、ホテルや博物館、ギャラリーとして活用していた」
 先進事例を数多く見比べていく中で、自分なりの課題点を見つけた。
 「製糸場は広大な敷地ときれいな景観を兼ね備えている。だが、ブロック塀で敷地が分断されているため、地域住民から遠い存在と認識されていると感じた」
 街の様子を知らないと将来像を提案できないと思い、仲間と一緒に10回以上も富岡に足を運んだ。
 「製糸場を訪れ、出て行く人の流れを調べたり、アンケート調査をした。出会った市民は100人を超えた」
 住環境や生活基盤の整備、公園などのスペースを求める住民の声が大きいことも初めて知った。
 発表では「ものづくりのまちへ―職と住からの活性化」と題し、同製糸場の整備などを紹介。建物を利活用し、施設をギャラリーやホールに使うことを提言した。
 「富岡市のシンボルとして、来訪者だけでなく、住民にとって憩いの場になることが重要。製造業を中心にして、産業振興をはじめ、教育や文化、歴史の継承を考えるべき」
 最後に、「何よりも住んでいる人が、製糸場や街に、愛着や誇りを持つことが大切」と強調した。

(前橋支局 粕川悠介)