絹人往来

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機織り 絹の軽さ、つやは格別 太田 セツ子さん(59)  太田市新野町 掲載日:2008/11/04


「絹で作ったものは軽さが全然ちがう」と話す太田さん
「絹で作ったものは軽さが全然ちがう」と話す太田さん

 自宅の庭にある九畳の仕事場には、機織り機や織物などが所狭しと並んでいる。15年ほど前から趣味としてパッチワークを始めて以来、染め物、織物と取り組みの分野を広げていった。
 織物を始めたのは約10年前。「公民館の染め物教室の講師が織物の教室も開いており、趣味の幅を広げようと参加した」。教室で機織り機の使い方など基礎的なことを学んだ後、本などで勉強し知識を深めた。
 初めの2年ほどは公民館で作業していたが、「家で自由に作業したい」という思いから機織り機を購入。現在は2台の機織り機が仕事場で活躍している。
 使いたい色の糸が見つからなければ、染め物の経験を生かして草木染などで自分で染める。「自分で作れば好きな形にできる」と、ジャケットやベスト、かばんなども手作りする。
 「実際に染めたり織ったりすると、予想していたよりも好みの色合いに出来上がり、驚かされることもある」というが、凝りすぎて失敗してしまうことも多々ある。
 「絹で作ったものは軽さやつやが全然違うが、高価なので気軽には使えない」。織物には綿、麻なども使っているが、絹の手触りは格別だという。「知人が使わなくなった着物を持ってきてくれることもある」と、協力に感謝している。
 ちりめん細工にも挑戦。現在は月に2回ほど市内でちりめん細工の教室を開き、七人の生徒を指導している。
 作品は知人に配ったり仕事場に並べる。「珍しいものなので、人にあげると喜んでもらえる」。近所のそば店では、ひな人形や五月人形、果物などその季節にちなんだちりめん細工の作品を1年中飾っている。
 「機織りは同じ作業の繰り返しなので、気を抜かないようにしなければならない。地道さと丁寧さがうまく作るこつ」。作りたいものを作っているので、1日中作業していても飽きないという。
 「世間では機織り機を使う機会が減ってきている。物置などに眠っている機織り機があれば、公民館などに置いてもらいたい」。より多くの人が織物に親しめる環境づくりを願っている。

(太田支社 大塚智亮)