絹人往来

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パンに桑 看板商品地場食材で 松村 信夫さん(66)  沼田市西倉内町 掲載日:2008/10/11


養蚕県群馬をイメージしたパンを手にする松村さん
養蚕県群馬をイメージしたパンを手にする松村さん

 「旧官営富岡製糸場と絹産業遺産群の世界遺産登録に向けて、パン屋で何か手伝いができないかと思った」
 沼田市の国指定天然記念物で絹産業遺産群の一つである薄根の大クワをイメージした「大桑パン」と、繭をかたどった「群馬のおかいこさん繭パン」を発案。経営するフリアン洋菓子店で今年3月から販売している。
 「真っ白な繭や緑の葉っぱのイメージを再現するため、パンを焼く温度や焼き方などを1から研究した」
 「大桑パン」はこんにゃく粉と桑の葉パウダーを練り込んだ黄緑色のパン生地で葉っぱの形に仕上げた。下仁田町のゆずを使ったみそや沼田市のりんごジャムなど3種類の味を用意した。
 「群馬のおかいこさん繭パン」は白焼き仕立て。利根沼田産のブルーベリージャムと渋川産抹茶、桑の葉あんを挟んだパンを2個1組にした。
 「群馬のパン屋だから、コストがかかっても県産の材料にこだわった。パンで薄根の大クワや自然豊かな地域のイメージを伝えたかった」
 店を引き継いだのは約20年前。以前は作業服と靴を販売する会社で役員をしていた。取引をしていた先代の社長から後継者に指名され、異業種へ飛び込んだ。
 「何も分からないまま就任したので不安だらけだった。けれども消費者の視点から店作りができるのではないかと思って引き受けた」
 先代から引き継いだ看板商品のみそパンをもとに、傾きかけていた会社を立て直した。みそパンだけに頼らずに会社を発展させようと、パン職人と二人三脚でこんにゃく粉を練り込んだ「コンニャクパン」を開発した。
 「町のパン屋が大手の業者に負けないようにするには、大手の目の届かない地産地消を目指すしかない。地元産の食材を使ったパンを何10種類も開発している」
 食パンやロールケーキ、サブレにも桑の葉パウダーを使った商品を昨年から発売している。
 「会社の安定のためには3本の矢が必要。みそパン、コンニャクパンとすでに2本の矢がある。養蚕県である群馬をイメージにしたパンが最後の矢になると思う」

(沼田支局 田島孝朗)