絹人往来

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ちりめん細工 感覚戻り人形や飾り 青山 信子さん(66) 渋川市伊香保町伊香保 掲載日:2008/01/31


自作のつるし雛を持つ青山さん
自作のつるし雛を持つ青山さん

 「旧赤城村の養蚕農家に生まれて、桑摘みなどを手伝った。今ぐらいの時期になると、母が自宅で糸を引いて機織りをしていた。自分が子供の時の着物や羽織、長じゅばんなども母が織った。絹の手触りがとても好きだった。雪が降るころになると思い出す」
 母が織物や着物作りに熱心だったこともあり、23、24歳のころに洋裁や和裁の教室に通って手ほどきを受けた。
 「正直言って最初は面倒だったけど、やってみたら面白かった。家庭に入ってからも、子供のスカートやズボンを作ったり、編み物をしたり。楽しかった」
 40代になると子供も大きくなり、外で働き始めた。日々を忙しく過ごすなかで、趣味からしばらく遠ざかった。
 「2年前に友達に誘われて、ちりめん細工の教室に入った。昔はもっとスムーズに裁縫ができたのにと思うときもあったけど、次第に感覚が戻ってきた」
 ちりめん細工は、ちりめんなどの端切れを使って人形や飾りを作る。
 「絹の感触が懐かしかった。独特の光沢にも魅力を感じている。創作人形で5―10センチぐらいのウサギやカメを作ったが、何も考えず没頭できて、自分でも驚いた」
 現在、榛東村上野原の衣服・雑貨販売店「地球屋」で開かれている、ちりめん細工のコンテストに自作のつるし雛びなを展示している。
 「金魚や鶴、桜などの縁起物56体をつるした。最初に考えたときはとても完成できないと思ったけれど、1年がかりで完成させた。ちりめんの端切れを見て、模様や色が何に向いているかと考えるのも面白かった」
 今では週1回、教室に通うほか、仕事の後に自宅で作品と向かい合うことも多くなった。
 「孫娘が2人いるので1年で2つ作れるようになりたい。手間は倍だけど仕上がりの喜びも倍になるはず。孫は、自分が作っているところを興味深そうに見てくれる。趣味を通じて絹の良さを伝えていきたい」

(渋川支局 田中暁)